伊勢志摩でのかつおのいぶしとご馳走体験

日本にやってくる人の多くは、その神々しい伊勢神宮ゆえに三重県を知っているかと思います。でもせっかくやって来るならば、それだけでは物語の半分しか楽しめません。伊勢志摩国立公園は、国立公園の中でもっとも多く人が住んでおり、地域コミュニティと自然との共生がわかるユニークな場所です。半島の遠く端に位置するこの志摩市では、その伝統が見られるでけでなく、味わうこともできてしまうんです!

海は志摩での生活の中心を成すものです。

志摩の海産物に関しては、少なくとも3つのことがよく知られています。伊勢エビの漁獲量、かつおのいぶし工場、そして海女(あま)さんたち。今日はこの3つをすべてを体験することに…

「いらっしゃいませ!」と気さくな海女さんキャラクターが歓迎してくれるのは、同じくとても感じのいい私の宿泊先・竹正の玄関です。

大変な仕事である伊勢エビ漁船が港に戻ってきます。

かつおぶしは、削りたてが一番美味しいです。

本日は伊勢エビがを水揚げされるのを見るために、和具(わぐ)漁港への訪問から始まりました。朝6時半くらいがその時間なのですが、幸いにも私の滞在先の竹正から2,3分の距離でした。

船が戻って来るまでご近所さんたちは座っておしゃべりをしていますが、いったん水揚げされると、みんな懸命に働きます。

伊勢エビを網から取り除くには相当のスキルがいります。というのは、足や触覚が折れていると値段がぐっと下がってしまうから。でも、ここで働く人は賃金を受け取らず、この網が捕らえた他の魚で生計を稼ぐ人の、友人やご近所さんがこの作業をしてくれます。

エビのもつれをほどくために、特別なフックが使われます。

近くの市場にて、買取業者たちは今日の仕入れを検討します。

とりあえずは、伊勢エビにさようなら。また後で会うはずでしょう…本日のメニュー・次の台所のご馳走体験は、かつおのいぶしです。

天白さんは、かつおのいぶし小屋のオーナーで、人を歓迎したりカメラにポーズするのが大好きです!

魚は固くなるまでいぶされ、それからはかびが生えるまで置かれます。ブルーチーズのようで、これが風味にとって非常に重要です。

伊勢エビは豪華な食材で、新年などの特別な機会に食べられますが、一方かつおぶしはあまりに日本の食事の基本なので、だしや他の料理でのその繊細な風味に気づかないこともあるかもしれません。太古の昔より、伊勢神宮の神々に1日に2度奉納される食材には、伊勢エビはありませんが、かつおぶしが入っています。それも、正にこの小屋でいぶされたものが納められます。

他に何も添加されず、100%かつおぶしでとっただし汁は、とても美味しくそのまま飲めます。

包装もとても特別で、京都の木版画家である徳力富吉郎(とくりきとみきちろう)と息子の道隆によってデザインされたものです。

今日はメディアにインタビューされる日です!

帰りに、もうひとつ地元のご馳走を試しました。外の干物です。

真ん中にある茶色の魚はフグです。

かつおや伊勢エビは太平洋から捕られますが、半島の逆側には風光明媚な英虞湾(あごわん)があり、60ほどの島とたくさんの真珠の養殖場があります。普段はとても静かな場所ですが、今度の5月には志摩G7サミットがここの賢島(かしこじま)で予定されているので賑やかになるでしょうね…

今晩は華やかな日の入りはありませんが、静かな桃色と灰色はとても綺麗でした。

この小さなおみやげはいかが?

地元のホストの皆さんと頂いた今晩の夕食は、志摩のもうひとつの有名な海の伝統である、海女さんを紹介してくれています。海女の女性たちは、何の装備もなく海底に潜り貝類を採ります。潜った後には、小さな小屋で暖を取り、囲炉裏で海産物を焼きます。

三橋さんは実際の現役の海人さんで、私たちのために今朝の伊勢エビを焼いてくれました。美味しい!

そして私も海人の衣装を着てみました…実際には潜らなくてよくてよかった!

素晴らしい夕食でした。ですが今朝実際に三橋さんの海女小屋を見せていただいたことが一層思い出に残っています。写真映えする場所ではありませんが、海女が博物館の展示物ではなく、今も生き続ける職業であることがわかります。私は皆さんがすべてのものを再利用していることにも感動しました。

プラスチックの洗濯ハンガーなら安く買えますが、海女さんは自分たちの持ち物を活用しようとします。

近年では4人の海女がこの小屋を共用していますが、かつては18から20人いたそうです。

かつおぶしにせよ、海女の潜りにせよ、志摩の気さくな住人の方々は深い知識と海への敬意を持っていて、その恵みを喜んで分かち合ってくれます。ただ今回の場合は、一口は千の言葉に匹敵すると思いますので、ぜひとも自分の足で訪れ食べてみてくださいね…

翻訳:We Love Japan Tour 事務局・中山慶