紅葉の時期に清水寺の人だかりを経験したことがある人ならば、京都にこれ以上Hidden Beauty・隠れた魅力が残っているのか想像もつかないかもしれません。しかし、京都の中心からスリルいっぱいの山道を北へ一時間、その京北(けいほく)地域では、まず海外の観光客に会うことはありません。日々の生活は季節に彩られ、私の宿泊先である徳平庵のような茅葺きの農家が、木々の丘の間にところどころ見られます。
自然豊かな田舎の環境でありつつも、京北は京都の都市部と密接なつながりを持っています。歴史的にも何世紀にもわたり、木材を寺社仏閣に供給してきたからです。本日、私は現地の木こりチームに参加させてもらう貴重な機会を頂きました。
京北で切り落とされた木材は、雪の降る山あいから木ん馬(きんば)というソリで運び出され、川を筏で下り、京都の嵐山にまでかつては運ばれました。現在では機械が発達してだいぶ作業が速くなったとはいえ、それでも骨の折れる仕事です。全国で見ても、若者が林業に従事するのは少なくなってる中で、京北は林業がまだしっかりと残っている貴重な地域です。
しかしながら、すべての仕事はギャンブルである、とも言えます。木は切り倒してみるまで実際の値がいくらつくのかはわからないからです。月に3度行われる木材の競り市には、この京北地域の木材の評判のため、全国から買取業者がやってきます。
木こりさんの技能を学ぶには10年かかりますが、今日、なんと私もチェーソーを使ったお試しコースをやってみました。
木こりの現場を訪れた後には、井口さんと奥さんが運営するローズカフェに行って、箸作り体験をしました。もちろん、地元の木材を使ってです。
たくさんこうして働いた後は、京蕪庵(きょうぶあん)での昼食の時間です。この田園レストランでは手打ちのそばや地元の食材を楽しめるのですが、私たちはシェフの田尻さんにお任せしました。すると、そばからかぶら鍋から地鶏から鯖寿司まで、あらゆる地元の特産を出してくれました。しかしすべてを完食しました。というのは9割ほどは健康な野菜だったためどんどん食べられたのです(というのは私の食べ過ぎの言い訳!?)
本日の最後の目的地は常照皇寺(じょうしょうこうじ)でした。14世紀、南北朝時代の政争のなか退位した光厳(こうごん)天皇のために建てられた禅寺で、美しい森林に囲まれています。
宮廷での権力争いに幻滅し、退位後をここで暮らしました。そして遺言には、この寺を訪問客を引き付ける流行り寺にせずに、その静けさを保つように、と書かれました。その願いは尊重されているようで、私たちが訪れた時も、他には誰もいませんでした。
一日を京北の素晴らしい景色の山や谷で過ごし、なぜ天皇たちがここをHidden Beauty・隠れた魅力とみなしたのがよくわかりました。
明日は、日本海岸に向かい化石探しです!
翻訳:We Love Japan Tour 事務局・中山慶