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地元の特産品を試すのは常に旅の醍醐味ですけど、今日はその見事な言い訳がありました。なぜなら、本日のHidden Beauty・隠れた魅力は、石川県白山地域のお料理だったからです。白山は日本でもっとも知られた山のひとつで、千年前からすでに、平安時代の宮廷文学でも取り上げられた場所です。白山の勾配(こうばい)は海岸の平野に対して急で、それによってこの比較的小さな地域に、豊かな動物や魚の恵みがあります。
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海岸から見た白山
豪雪地帯のこの地域では、長い冬の間に食べ物を保存する発酵食が、重要な意味合いを持ってきました。しかし、私の最初の目的地であるあら与では、ある他の「致命的な」理由で、とてもユニークな発酵法が行われていたんです。
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さて、これは何でしょう?
魚のしらこは日本料理ではおなじみですが、でもフグのしらことなると、ひとつ少し問題があります。そう、猛毒なんです…そのため、このしらこを一年間塩漬けにすることで、水分とほとんどの毒素を出します。
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でもこの塩漬けの後でさえ、まだ食べるには毒が多すぎます。
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そこで、米ぬかとこうじがまぶされ、さらに発酵が促進されます。
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それぞれの樽には注意深く日付のラベルが貼られ、そして一年半置かれます。
せっかちな人向けのものではないですね…
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毎日この樽は、いわし漬けの汁が注がれて、風味づけがされます。
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2年半後の成果が、これ。塩気があり、美味しいです。
これはまだ軽食に過ぎません…獅子吼荘(ししくそう)の昼食は、正にあらゆる発酵食のごちそうで、塩気のある米麹と焼き鮭や、なめらかな米麹と大根、にしん漬けに、さらに米麹がのったぶどうまで、囲炉裏にて頂きました。
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こんなにたくさんの漬け方があるなんて知りませんでした…
笹ずしづくりにも挑戦しました。干しエビとわかめをのせたおにぎりを竹の葉で包んで、木の枠で押します。わずか数日もつものですが、これもまたひとつの保存食のやり方です。
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作るのはお手軽で楽しいです
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明日のランチになります!
白山地域には酒蔵がいくつかあり、山からの湧き水を使っています。私が訪れたのは宮本酒造で、三人の醸造家が高品質な職人の酒を作っています。
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宮本さんが酒作りの行程を教えてくれます
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この蔵は、地元のじゃがいもの品種からもお酒を作っていて、九谷焼の瓶で売られています。
しかし、いくら私でさえも一日中食って呑んで、とはいきません…というわけで、地元で有名な産業である、浅野太鼓にも少し立ち寄りました。そこで見たのは、巨大な丸太から切り取られた太鼓です。
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太鼓は、小さいものから巨大なものまで大きさも様々
そして、白山比め(しろやまひめ)神社に行かなくては、この地域に来た甲斐がありません。
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この神社は、日本中にあるおよそ3000もの「白山神社」の総本社にあたります。
ここでお祈りをすると、実際に白山に登らなくても、その山頂でのお参りと同じだけのご利益を授かることができるのです。これは見逃せない機会なので、私は神様にお祈りするための儀式に参加しました。
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宮司さんが私たちを皆お清めしてくれます。視線を上げてはいけませんでしたが、神社の係の方が写真を撮ってくれました!
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神楽の舞踊は神様を喜ばせるためのものです。太鼓はもちろん、浅野太鼓製。
それから、夕食に宿に戻る時間になりました。道中は山の景色を楽しみながら。
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綿(わた)の滝は、近くによるとか細く見えます。
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蕎麦もこの地域で育てられています
白山の道を高く行ったところにある、岩間山荘が本日の宿です。車を泊めてすぐに、そばをタヌキ(アナグマのような生き物)が、しれっと散歩して通り過ぎました。でもロビーでは、さらに獰猛な動物が…
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スカーフをしていても、クマは全然かわいくありません
オーナーの旦那さんは猟師さんなので、この宿で出される美味しい料理の特色は、熊肉と猪肉です。
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本日の刺身はというと…熊肉!
今晩の夕食は、他にも熊鍋、熊肉の大根の煮付け、きのこと猪肉、蜂の子、そしてデザートには山ブドウのシャーベットでした。北村さんは最近たくさんの海外のゲストを迎えるようになってきたので、私は彼女に ”wild” - 「野生の」という単語を教えました。ほとんどの食材は山や、彼女の庭から採られるものだからです。
もう動けません…とはいえ明日になるとまた食欲も戻るかもしれませんが!山を越えて富山を目指し、あちらで木工体験をします。
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