前回のHidden Beauty・隠れた魅力と同じく、今回の体験も工業的なテーマと関連しています。北九州では先端技術に焦点があたりましたが、ここ周南は重工業の地域です。

周南の地平線は、様々な工場の煙突で占められています。

周南は瀬戸内海にある港です。内海というのは、ここは本州と九州と四国に挟まれているからで、たくさんの小さな島々が点在し、風光明媚な景色のため旅行客に人気の地です。

周南の沿岸を一時間ほど運転すると絵葉書のような景色が。

しかし、瀬戸内海は商業的にも重要な水路で、たくさんの大型船が通行します。周南の工業は間違いなくこの長い海の歴史に端を発します

湾ごしに見える周南沿岸

さて、周南について知るには、ボートに乗ってみるのが一番いいのではないでしょうか?私はさらなる学びを求めて、徳山湾のイブニング・クルーズに参加しました。

ガイドさんが出港前に、目立った目印を教えてくれます。水上にいったん出るとすぐに方向感覚がわからなくなってしまうからです。

「クルーズ」と聞くとクイーン・エリザベス2世号のような巨大な航海船を思い浮かべてしまいますけど、我々のボートはもっと小回りがきいて、岸の近くまで近づくことができます。

徳山湾は水深の深い見事な天然港で、ほぼ岬と島々のみで取り囲まれています。

港を出てみると景色がこのように変わります。

ここは第2次世界大戦の時には重要な海軍港でした。戦艦ヤマトが最後の航海を前に入港し、人間魚雷の訓練キャンプは周辺の島々のひとつで行われました。華やかな話ではないですが、重要な事実として、燃料の精製が海軍によってされていました。今日では、多様な工場群や発電所に加え、沿岸にいくつか精製所があります。

夜になると、工場の幾何学的な構造が、不思議と美しいです。

湾の中心から見てみると、工場の光がまるで巨大なクリスマスのイルミネーションのように素晴らしく見えます。ガイドさんは、それが色んな動物の形に見えると教えてくれました。でも多分雲のようなもので、それぞれの人が違ったイメージを見つけるのだと思います。しかし、さらに岸に近づくと、工業的な活動が実際に稼働していることがわかります。日曜の夜だというのに、たくさんの工場が動いていました。

ベルトコンベアが、この前の写真の工場からのセメントを運び、このコンテナ船に積み込まれます。

このクレーンからつるされたシャベルは、10トンもの石炭を一度にすくい上げます。驚くほどの速さで動きます。

ガイドさんが言うには、これは「ハンティング・クルーズ」のようなものらしいです。先ほどの動物の形のこともそうですが、サファリのように、前もって何を見ることになるのかはわからないからです。石炭をすくう活動中のシャベルが見られたのと同じく、製鋼所から明るい紫の炎が上がるのが運良く見られました。溶鉱炉の過剰な熱が放出する時に現れるものです。

汚れた窓でさえ、夜には綺麗に見えます!

工場の巨大に覆われた停泊所では、どの天候でも積み荷が可能です。

まもなくして、私たちは波立つ湾を横切り、シーホース・マリーナに戻りました。周南と瀬戸内海について、また私たちが日々使っているものがどのようにやってくるかについて、間違いなく新たな視点を得ました。

港に無事到着

明日の早朝、私は日本海の隠岐諸島へと出発します。もうひとつの海、むこう側の海岸が楽しみです!

翻訳:We Love Japan Tour 事務局・中山慶